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(東京から560キロ、凪の大海原にひとり佇む孀婦岩
MOGULER'S DELIGHTさんのサイトから借用、有難うございました) 【團伊玖磨の旅行記『九つの空』】 私でも知っている歌曲『花の街』、私でも 読んでいるエッセイ『パイプのけむり』…、 その團伊玖磨(だんいくま、1924年4月7日~ 2001年5月17日)の旅行記が『九つの空』なの です。これは文句なしに味わい深かったです。 …百代の過客の紡ぐ経と、人間の思考と行為が縒る緯は、地球 上の何処ででも、刻一刻、歴史を織り続けていた。そして、歴史 の綾織りは、地表を染め分け、朝も、昼も、夜も、その筬の音を 大地から空へ投げ上げていた。 この本は、遥かな筬【注a】の響きを伴奏に、さまざまに色を 変える九つの空【注b】の下を、蟻のように歩き廻りながら、僕 が心の底から歌った、地球への、人間への賛歌である。 《『九つの空』の扉に記された著者の巻頭言(?)から一部引用》 【注a】筬(おさ) 織機の付属具。竹または金属の薄片を櫛(くし)の歯のように並べ、 枠をつけたもの。経糸を整え、緯糸を打ち込むのに使う。 ─2012年2月21日誤字訂正─ 縦糸、横糸を 経(たて)糸、緯(よこ)糸に訂正しました。 【注b】九つの空 ○南海紀行 東京の無人島群 1968年夏エアロコマンダーから、 および1968年秋船での航海 ○石の歌 アンコール遺跡群で 1969年春 ○北の海で スタッファ─そしてシェトランド 1969年夏 ○燕窩行 燕の巣をたずねて 1969年秋 ○仙人掌と爆弾と アメリカの砂漠で 1969年冬 ○オラ コモド島の大蜥蜴 1970年春 ○赤い岩 エアーズ・ロック周辺 1970年夏 ○スワニーの彼方 スティーヴン・フォスターの悲しみ 1970年秋 ○フォアグラ 鵞鳥と茸の不思議な結婚 1971年正月 この九つの内の…最初の空、 「南海紀行 東京の無人島群」が 抜群に面白いのです。 要は八丈島を起点に、 八丈島の南65キロの「青ヶ島(ここまで 有人島)」、 青ヶ島の南60キロの「ベヨネーズ列岩(23個の内、最も高い岩は9.9m)」、 ベヨネーズ列岩の南50キロの「須美壽島」、 須美壽島の南110キロの「鳥島」、 そして鳥島の南70キロにある…伊豆 諸島最南端で東京から650キロの 「孀婦(そうふ)岩」まで、伊豆諸島を 南に辿る旅なのです。 …前方を凝視していた僕達は、全員、 驚愕の声を上げた。濃紺の南海と抜け るような青空を遥か彼方で区切る水平 線上に奇怪な物が近付いて来るので ある。それは、何と表現す可きなのか、 強いて表現するならば、墓であった。 いや、墓よりも高く、細い、海と空を繫ぐ オベリスクだった。孀婦島、それは、 従来の概念で言う島では無く、岩礁でも 無く、巨大な、南海の果てに一本立つ 岩の棒であったのである。 《『九つの空』南海紀行から一部引用》 そうなのです。以前に取り上げた─── 絶海の孤島「孀婦岩」標高 99メートル ───に、別のかたちでまた逢えた(?)のです。 by MO
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| 2012-02-20 09:09
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